前足接地が良いのか、踵接地が良いのか?

先日、近所の健康ショップの店長さんに踵から着いた歩き方は良くない!!と熱く語られました。
そこで、私の意見を少々こちらで発表させて頂こうと思います。

とりあえず前足接地ってなんだ?

前足接地とはフォアフット走法とも言われ、歩行時に踵から地面に着かずに、つま先(正確に言うと前足部)から着いた歩き方を言います。

参考引用 http://shiroutorunner.com/Entry/63/

これの利点は

・膝への衝撃が少ない
・使う筋肉が少ないので効率的である
・前足接地の方が歩く時の推進力になる。
と、良いことずくめですね。

前足歩行が話題になった背景

フォアフット走法が話題になった背景として、ハーバード大学のDaniel Lieberman博士の論文があります。

博士の論文によると、シューズで走るランナーの75%が踵接地で走るのに対して、ケニアの裸足で走るランナーは母指球の外側から接地する走り方をしていることから、人間の本来の走り(歩きも)方は前足接地ではないのか?しかも、軒並みケニアの選手はケガも少なく、好成績だし、尚且つ踵は構造上ブレーキ作用があるので、走る時に走行の邪魔もするし、前足の方が推進力にもなる。ということです。

これを機に前足VS踵論争が始まり、日本の古武術会もナンバ歩きや、ためしてガッテン(NHK)なども取り上げて人間の本来の歩き方は前足だー!!という人達が増えていったと思います。

しかし、ここで私は疑問に思いました。

「前足歩行が本来の歩き方なら、なぜ私たちは踵から着く歩き方を自然にしてるの?」

別に誰にも教わったわけでも無いのに私たちは自然と踵から着く歩き方をしていますよね。

もし、前足歩行が自然なものだったら、私たちも自然と前足歩行になっているハズ。。。。。だと思うのですよ。

医学的な歩行の解釈

歩行を医学的な面でみると、人体の重心を前方に移動させてゆくこととなっています。いわゆる動歩行とは、前方に出した片足が着地する前に、着地点方向への重心移動を開始する歩き方で、これが人の通常の歩き方です。重心はかかとで接地して、土踏まずの外側から小指球→拇指球→親指に移動して行きます。因みに、動歩行を早めると走る動作になります。

まとめると

かかと接地→つま先方向への重心移動→アーチや指による衝撃吸収→距骨下関節→膝関節→股関節→背骨と関連してゆきます。これが歩くときの基本と云うことになります。(もっと細かく分類されていますが、ここでは割愛し簡単に説明させて頂きます。)

早歩や走る時も基本的には同じですが、走る速度が上がるに連れて、接地時間が短くなり、体が前掲すればかかと接地しなくなり、フォアフットになっていきます。これはかかと着地がブレーキ作用をすることとも関連づけられます。このように考えると、かかとの衝撃吸収を主な理由にして、フォアフット走行の方が良いと決めつけるよりも、かかと衝撃はあくまでも、全体的な身体動作の一つに過ぎないと考えることも出来ます。

結局はどっちが良いの?

結論でいえば「どちらでも良い」というのが私の解釈です。その前に歩き方を決めつける意味が無いとも思います。

歩き方は、年齢、性別、国、環境、疾患など様々な要因により変化していきます。もしかしたらケニアの選手も幼いころからシューズを履いていたら踵接地になっているかもしれません。またアフリカで整備されていない砂利道を裸足で歩くのが日常なら踵で着いていたら痛くてたまりません。

想像してみてください、私たちも膝を擦りむいたり、腰が痛いときなどはすり足気味に歩いて、衝撃が来ないようにしていませんか?
坂道などでは、ややフラットに足を着いて滑らないようにしていませんか?

人間は自然とその状況に合わせた歩き方を元から知っていると私は思うのです。

先ほどの店長さんが、凍った地面を踵で歩いたら滑るでしょ!!と語気を強くして言っていましたが、スケートリンクを踵を着いて元気よく歩く人は、まずいないでしょう。みんなそろり、そろりとフラット気味で歩くと思います。

加えて前足歩行にもデメリットはあります。
・ふくらはぎの筋肉を多用するため、太くなる
・アキレス腱が強くないと炎症を起こす恐れがある
・筋肉をあまり使わない=高齢者にはロコモティブシンドロームを助長してしまう可能性がある。
などがあります。

歩き方を決めつけるよりも、その場の状況に合わせた歩き方を楽しみ、自分に適した歩き方をしているのが本来の歩き方なのだと思います。

長々となりましたが最後に上述のLieberman博士もこのように言われていました。

「ではどのように走ればよいのかというと、好きな方法で楽しめば良い。かかと着地の人は、かかとを保護するようデザインされた靴を履くのが望ましく、また、足の母指球から地面に当てる走法を訓練する方法もあるが、急激に移行するとアキレス腱炎を発症しやすいため、徐々に注意深く移行するのが重要」